縄文杉から見下ろす眼下に美しく青々とした森が広がる。
それは真ん中にあぐらをかいて座る縄文杉をすべての木々たちが崇めているようにも見える。
しかし、実際はこの美しさからは想像もつかないような激しい覇権争いが続いている。永遠に続いた文明などなかったように杉にも繁栄し続けられない宿命が用意されている。
杉は増えすぎると森中は暗くなり、葉が小さく光をたくさん必要とする杉は子孫が育たなくなるのだ.一方で、広葉樹は葉が大きく少ない光でも育つことができる 。
つまり、すぎ帝国の滅亡後は広葉帝国にうって変わる。
しかし、全く希望がない訳ではない。
倒れた杉の巨木の間から一寸の光が差し込む。
ここに新たな杉が芽をだし始めている。
新たな戦いの夜明け。
でも、一人の人間の人生なんてこの戦いの1コマも見れやしない。